+第57話・神を断つ剣なり+


便宜上、幼い姿のイルイの台詞は青文字で記載してます。

<インターミッション>

(これ以前の会話は略)

ゼンガー「…………」
      (ネート博士……あなたを探しに行くのはもう少し先になるやも知れん…)
      (…俺には…剣としての最後の使命が残っている…。イルイとの約束を守らねばならぬ…)

レーツェル「友よ、お前の意見は?」

ゼンガー「…………」
      「不退転…それが我が流儀。我らやイルイを呪縛する者は例え神であっても…」
      「斬る…!」

シナプス「よし…総員直ちに出撃準備。我々はこれよりバラルの園へ向かう…!」




<全機出撃後>

(クストース出現)

甲児「!!」

万丈「現れたか…クストース!」

カナフ「…………」

ケレン「…………」

ザナヴ「…………」

イルイ「…ようこそ…」
    「ようこそ…約束の地、バラルへ」

ゼンガー「イルイ…!」

イルイ「ゼンガー…そして、αナンバーズ……私はあなた達を待っていました」
    「まもなく私は結界によって、地球を封印します……」
    「そして……私が見定めた剣達よ………」
    「ガンエデンと共にこの最後の楽園を護りましょう……」
    「それが…私とあなた達に与えられた使命……」

アムロ「イルイ…。君の使命は誰に与えられたものなんだ?」

イルイ「…………」

アムロ「ガンエデンとはいったい何だ? 君達はどこから来たのだ?」

イルイ「…古の人々の願い……それが私達を形造った……」
    「…ガンエデンは人造神…バラルはその玉座……」

アムロ「人造…神!?」

イルイ「そう…古の時代…空の彼方から来たりし大災厄を逃れるために…ガンエデンは造り出された…」

万丈「人が造り出した神だと…!?」

アムロ「…ならば、獅子王博士やサコンの予想どおり…」
     「あれは人が造り出した地球の防衛システムだということか…!」

イルイ「…かつて、生きとし生ける者を滅亡の危機に追い込んだ邪神や破壊神達…」
    「ガンエデンは彼らによる災厄を逃れ、最後の楽園として選ばれたこの星を護る存在なのです」

万丈「それで…君は地球を守る手段として、結界による封印を選んだわけだな?」

イルイ「そうです。この星は遥かな昔から多くの者によって干渉を受けつづけてきました……」
    「銀河の彼方より飛来したオルファン…ビムラー…ゲッター線……異星からの来訪者達…」
    「そして…その結果、導き出された答えが…地球を滅亡の危機へ追い込んだ
     バルマー戦役や今回の戦いなのです」

竜馬「待ってくれ! ビムラー、ゲッター線は地球を滅亡させる為のものじゃない!
    オルファンだって、最後には…」

勇「ああ、人類との共存を選んでくれた!」

イルイ「無論…私もあれらの力の素晴らしさは理解しています」
    「でも…それ故に多くの災いをこの星に振りまいてしまいました…」
    「…ゲッター線は恐竜帝国を…ビムラーはドクーガを…オルファンはリクレイマーを……」
    「強い力は災いを生み出してしまうのです。あなた達も例外ではありません…」

万丈「そのことは僕達も充分に承知している……」
   「だからこそ…メガノイドのように自分におぼれず、この星や多くの人達を…」
   「いや、平和を願う宇宙の同胞達を守るために己の力を使っている…!」

イルイ「それもわかっています…。何故なら…私はあなた達のことを傍で見ていましたから………」

比瑪「イルイ…!」

イルイ「でも…そんなあなた達の存在ですら、多くの敵や災厄を呼んでしまうのです……」
    「もし、戦いの中であなた達が力尽きたら…」
    「もし、あなた達の力すら上回る存在が現れたら…」
    「その時はこの楽園が最期を迎えることになるのです」

甲児「何言ってんだ! そんなこと、俺達が許すものかよ!!」

凱「ああ! 例え、どんなに強大な敵が現れようと…俺達は戦う! この世界を守るために!!」

イルイ「…はたして、そうでしょうか…?」

凱「何…!?」

イルイ「…あなた達の命は無限ではありません……今はその力で地球を護ることが出来ても……」
    「これから先…そう…未来永劫この星を護ることは無理…」

カミーユ「それは違う! 人の命に限りはあっても…人の意志は受け継がれていくものなんだ!」
     「例え、俺達がいなくなっても…俺達の意志を継ぐ者は必ず現れる!」

イルイ「……………」
    「…それはわかります………」
    「私もガンエデン……アウグストスと呼ばれる者よりその意志と力を受け継いだのですから…」

アムロ「アウグストス…!?」

ボス「何なんだわさ、それ!?」

京四郎「た、確か…ローマ帝国初代皇帝の名前だったはずだ…!」

イルイ「いえ…私に意志と力を与えたのはその者ではありません……」

カトル「じゃ、じゃあ…あなたがいうアウグストスとは何者なんですか…?」

イルイ「…最初の強念者……あなた達がサイコドライバーと呼んでいる人々の祖です」

ヴィレッタ「!!」

甲児「サ、サイコドライバーって…!」

万丈「あ、ああ…エアロゲイターのユーゼス・ゴッツォが追い求めていた…」
   「人の念を力に変える者…!」

アムロ「ならば、ガンエデンがサイコドライバーの正体…いや、オリジナルだと言うのか…!?」

イルイ「…そうです…」

アムロ「……!!」

ヴィレッタ(では、あれがもう一つの…!)

イルイ「…かつて……ガンエデンによってサイコドライバーの血を組み込まれた者達がいました……」
    「そして、彼らにはガンエデンや3体のしもべ達の代わりにこの星を護る使命も与えられたのです」
    「しかし…長い時が…人々との交わりが彼らの血を薄めていきました……」

コウ「じゃ、じゃあ…君は………」

イルイ「ええ…その者達の末裔…」
    「そして…その中で私は最も強い力を持っていたためガンエデンの巫女として選ばれたのです」

勇「! ということは…」

ヒイロ「…ああ。イルイはガンエデンに造り出された存在ではない…」
    「彼女は人間だ。俺達と同じくな」

比瑪「じゃ、じゃあ…! あの子はやっぱりガンエデンに…!」

イルイ「いいえ、違います。私は自分の意志でガンエデンの下にいます」

比瑪「え!?」

ゼンガー「どういうことだ、イルイ?」

イルイ「ゼンガー……私はあなた達の戦いをずっと見てきました」
    「あなた達はこの星を護るために…多くの人を護るために…」
    「傷つくことを恐れず、その命を顧みず…戦い続けてきました」

ゼンガー「…無論だ。それが我らの使命…。何故なら、我らは力なき人々の剣であり、盾であるからだ」

イルイ「……ゼンガー…。あなたなら、そう答えると思っていました」
    「しかし……あなたのその意志が……」
    「人の意志がこの星にさらなる災いを呼ぶことになるのです…」
    「だから……私は…………」
    「この星を封印します」

(バラルの塔から光が放たれ、宇宙の彼方へ降り注ぐ)

一矢「何っ!?」

コウ「い、今の光は!?」

凱「月の方へ行ったぞ!!」

大文字「月…!? まさか!!」

ミドリ「だ、大文字博士! 小バームに直撃弾がっ!!」

大文字「!!」

一矢「な、何だって!?」

ミドリ「しょ、小バームは動力部を損傷した模様!!」

一矢「イ、イルイ! 君はっ!?」

イルイ「……………」

(再び放たれる光)

ジュドー「ま、また撃った!?」

カミーユ「あの方角にはサイド3が!!」

ブライト「!!」

トーレス「ブ、ブライト艦長!! サイド3のコロニーにも攻撃が!!」

ブライト「コロニーにだと!?」

竜馬「やめろ、イルイッ! 小バームやコロニーの人達を殺す気か!?」

イルイ「………………」

(三度、四度、五度と光が放たれる)

竜馬「!!」

シナプス「今度はどこへ撃った!?」

シモン「つ、月ですっ! 月のフォン・ブラウン方面!!」

シナプス「! 馬鹿な…この位置と角度でか!?」

麗雄「ガ、ガンエデンは地球の外にある物体を攻撃しておるのか…!?」

アムロ「やめるんだ、イルイ! おまえが地球の守護神だと言うのなら…何故、コロニーの人達を攻撃する!?」

イルイ「…それは当然のこと……」

アムロ「当然!?」

イルイ「何故なら、ガンエデンは地球の守護神……その守護対象は……」
    「地球で生きる者達のみです」

アムロ「なッ……!」

一矢「何だって!?」

イルイ「地球の外に存在する者は……全てガンエデンが抹消します」

サコン「!! ま、まさか……」

麗雄「ガ、ガンエデンの封印とは…!?」

イルイ「そうです。地球の外に住む者達を全て抹殺し…その後に結界で地球を覆い尽くす…」
    「誰も寄せつけず……誰も外界へ行かせず……」
    「ガンエデンの加護により、この星は真の意味で最後の楽園となるのです」

麗雄「な、何と…! ただ、結界で地球を封印するだけではなかったのか…!!」

イルイ「そうです……。外からの干渉を一切受け付けず…」
    「宇宙へ出て、戦いを繰り広げることもなく…」
    「人類はガンエデンの加護の下、地球で生き続けていくのです……」

カミーユ「だから、お前はスペースノイドを抹殺すると言うのか!?」

イルイ「大地を離れた人類は……もう地球人ではありません……」

トビア「!!」

イルイ「そう…シャア・アズナブルやクラックス・ドゥガチのように……」
    「同じ人類でありながらも、地球を破壊する者となるのです…」

トビア「宇宙に出た人々の全てがそうなるとは限らない!」

イルイ「いえ…彼らは地球にとって異物…排除されて然るべき存在……」
    「現に彼らの手によって、地球は幾度となく滅亡の危機にさらされています」

トビア「そんな一握りの人間のために、大勢の人達を殺されてたまるかっ!!」

イルイ「ですが、もう時間がないのです…。一刻も早く…この星を封印しなければ…」
    「地球に住む人々へ楽園と平和を与えなければ……」

ケン太「やめてよ、イルイ! そんな方法で手に入れた平和なんか嘘っぱちだよ!」

護「そうだよ! 仲良く出来るはずの人達まで攻撃するなんて、やめてよぉっ!!」

イルイ「……………」
    「…あなた達は………人類を星の海へ導く存在……」
    「ガンエデンにとっては…排除すべき対象です」

護「!!」

ケン太「そっ…そんな!!」

イルイ「そして…私が見定めた剣達よ……」
    「私と共にこの星を護らぬと言うのなら…ガンエデンはあなた達をも排除します」

ルー「ほ…本気なの、イルイ…!?」

イルイ「……………」

(又も放たれる光)

健一「!!」

ブライト「今度はどこが狙われた!?」

トーレス「た、太平洋上のオルファンです!」

ブライト「な、何だと…!?」

比瑪「そ、そんな…っ!」

イルイ「…さあ、選びなさい………」
    「ガンエデンの下で剣としての使命を果たすか……」
    「ここでガンエデンに排除されるか…そのいずれかを……」

ゼンガー「…………」

(ゼンガー選択「イルイを助ける」)

ゼンガー「そのどちらも選ぶつもりはない…」

イルイ「ゼンガー……あの時の約束を忘れたのですか…?」

ゼンガー「…………」

イルイ「あなたは私と一緒にいてくれると言った……。あの約束を忘れたのですか……?」

ゼンガー「……………」
      「…その約束を……お前とした覚えはない」

イルイ「え……?」

ゼンガー「俺は……今のお前とその約束をした覚えはない」

イルイ「……………」

ゼンガー「俺が守ると誓った相手はガンエデン、お前ではない…」
      「俺が守るべき者……助けるべき者……それは……」
      「イルイ、本当のお前なのだ…!」

イルイ「………!」

ゼンガー「そして、俺は斬る…! お前を縛りつける鎖を…!」
      「ガンエデンの呪縛をッ!!」
      「偽神の封印をッ! 俺は参式斬艦刀で叩き斬るッ!!」

イルイ「愚かな選択を……」

ゼンガー「黙れッ!!」

イルイ「!!」

ゼンガー「そして、聞けッ!!」
      「我が名はゼンガー! ゼンガー・ゾンボルト!!」
      「我は…!!」

(タイトル・「第57話 神を断つ剣なり」)

ゼンガー「偽神ガンエデンよ! 貴様は我が参式斬艦刀によって! 今日この地で潰えるのだッ!!」

イルイ「…う…くっ……!」
    「…我を偽神と呼ぶか……!」
    「…今、永き眠りから覚め……この星を護らんとする我を……偽神と呼ぶか……!」

サンシロー「イルイ!?」

アムロ「もしや…!?」

イルイ「…く・・・…う……」

勇「拒否反応……なのか…!?」

イルイ「………………」

勇「イルイ!」

イルイ「………………」

ジュドー「イルイ! 俺達の声は届かないのか…!?」

鉄也「ならば、イルイ…俺達はお前に排除されるわけにはいかん」

イルイ「………」

コウ「俺達はスペースノイドも守る!」

サンシロー「ああ! バーム星やゼーラ星の人間もだ!」

竜馬「そして、ゲッター線やビムラーと共に生き…」

勇「オルファンが見せてくれた可能性を信じる!」

イルイ「…………」

真吾「俺達には、過保護な神様なんか必要ないんでね」

ゼクス「人類が自らの手で勝ち取った平和はすぐ近くまで来ている…」

ヒイロ「ガンエデン……例えお前が神だとしても……その平和を乱すつもりならば…」
    「俺はお前を殺す」

イルイ「……………」
    「…わかりました………」
    「これより、人造神ガンエデンは…その使命を果たすため……この最後の楽園を護るため…」
    「あなた達を排除します」

(イルイがバラルの塔へ吸い込まれる様に消え、強い震動が周囲を揺るがす)

モンシア「な、何だぁ!? この震動は!?」

京四郎「そ、それにこの歌声は…!?」

ゼンガー「現れるか……偽神よ!」

(激しい閃光を伴い、ガンエデンが姿を現す)

一矢「あれが……!」

麗雄「地球の守護神……」

凱「ガンエデンか!!」

(呼応するかの様に多数出現するクストース)

カミーユ「何!?」

サンシロー「ク、クストースと同じ奴らが…!!」

万丈「なるほど……これがバラルの戦力というわけか…!」
   「そして、彼らとイルイを操るシステムがあのガンエデン…!」

甲児「イルイを操ってる!? やっぱり、そうなのかよ!?」

アムロ「ああ…。イルイは自分がガンエデンに選ばれた者だと言った…」
     「そして、先程ゼンガー少佐に対して見せた拒否反応らしきもの……」
     「あれは今の彼女が本当のイルイでないことを証明している…!」

豹馬「ってことは…!」

アムロ「彼女が自分自身を取り戻すか…俺達の手でガンエデンのシステムを
     破壊すれば、助けられるかも知れない」
    「上手くいく確率は限りなく低いが…やってみるか?」

健一「ええ、もちろんです!」

鋼鉄ジーグ「出撃前に言ったとおり…イルイを助けてやろうぜ!」

凱「少しでも可能性があるのなら…俺はそこに全てを賭ける!」

レミー「そそ。私達、最初からそのつもりでここに来てるし」

ヒイロ「異論はない」

比瑪「オルファンさんだって、私達の声を聞いてくれたんです! だから、イルイもきっと…!」

アムロ「…決まりだな。では、ゼンガー少佐…あなたがイルイに呼びかけてくれ」

ゼンガー「俺が…!?」

アムロ「そうです。イルイはあなたに強い反応を見せている…」
    「あなたの声なら、あの子に届くかも知れません」

ゼンガー「俺が……イルイを……」
      「…この俺が………」
      「……承知……!」

レーツェル「…ならば、我々のやるべきことも決まったな」

ゼンガー「レーツェル……」

レーツェル「我が友よ、駆け抜けろ。偽神に囚われたイルイの所へ…本当の彼女の所へ」
       「そのための露払いは我々でさせていただく」

ゼンガー「すまぬ…友よ…!」

甲児「俺達も手伝うぜ、親分!」

ゼンガー「!」

デュオ「よ〜し…それじゃ、いっちょ囚われのお姫様を助けに行くとしますか!」

キンケドゥ「ああ、俺達の得意分野だ」

コウ「フォローは自分達に任せて下さい」

ゼンガー「お、お前達……!」

健一「イルイを助け、地球を救うためなら…俺達は力を惜しみません」

豹馬「ああ! ガンエデンだかガンモドキだか知らねえが、ブッタ切ってやろうぜ!!」

ジュドー「ここまで来て、あの子を助けられないなんて嫌だからね」

ゼンガー「…………」

プルツー「あたし達も応援するから…」

プル「頑張って! ゼンガーさん!」

ゼンガー「…お、お前達……」
      「…こんな俺のために………。力を貸してくれるのか……」

万丈「………!」

鉄也(もしや…?)

ゼンガー「…こんな俺のために……」

万丈「…少佐、未来は可能性の数だけあるとよく言うじゃありませんか」
   「だから、俺達はそれに賭けようとしているだけですよ」

ゼンガー「…だが……俺は………」

鉄也「これから先どうなるかなんて…誰にもわかりはしない…」
   「俺達にどんな未来が待ち受けているか、それを知る者なんて誰もいやしない…」

ゼンガー「!」

鉄也「だから、俺達は先に進む。自分の手で自分の未来を手に入れるために…!」
   「ゼンガー少佐…それはあんたにだって出来るはずだ」

ゼンガー「…………」
      「…承知した……!」

ベラ「この戦いに参加する全ての者へ…! 私達の双肩には人類の運命がかかっています!」

大文字「我々に後退は許されない! 諸君らの奮闘を期待する!」

凱「行こう、みんな! この星の明日のため…」

勇「俺達を待っている人々と地球のために!」

キンケドゥ「人類の進むべき未来のために!」

ゼンガー「ガンエデン! このゼンガー・ゾンボルト…推して参るッ!!」
      「イルイを我らの手に取り戻すために!!」




<ゼンガー→イルイ・説得>

イルイ「ゼンガー……何故、剣を収めるのです…?」

ゼンガー「…俺の剣は……イルイを断つためのものではない…」

イルイ「…………」

ゼンガー「…思い出せ…。俺達と共に過ごした日々のことを…」

イルイ「…………」

ゼンガー「…思い出せ…。我が同胞達の心と決意を……」
      「俺達は……ガンエデンに護られねばならぬほど弱い存在なのか…?」
      「俺達の未来は偽神に支配されねばならぬほどぜい弱なものなのか……?」

イルイ「……………」

ゼンガー「何故、お前はたった一人で使命を受け入れる…?」
      「何故、一人だけでこの星を護ろうとする…?」

イルイ「……………」

ゼンガー「何故、使命のために己の未来を捨てようとする?」

イルイ「それは…あなたも同じはずです、ゼンガー・ゾンボルト」
    「人類の未来のため…大地のゆりかご、アースクレイドルの中で眠りについたあなたも……」
    「使命のために未来を捨てたはず…」

ゼンガー「だが……俺は多くの同胞たちと出会って知った……」
      「…いかなる辛苦が待ち受けようとも…この世界が絶望で埋めつくされようとも……」
      「そこから逃げるのではなく…立ち向かわなければならないのだ」
      「そう……。アースクレイドルの眠りは試練への挑戦ではなく……」
      「逃避だったのだ……!」

イルイ「…………」

ゼンガー「故に俺達の使命は……この時代や未来の世界で否定されたのだろう……」

イルイ「…ガンエデンの封印が逃避だというのですか?」

ゼンガー「そうだ。我らに過保護な守護神などいらぬ…」
      「それは今までの歴史が証明している…」

イルイ「…………!」

ゼンガー「そして、俺はアースクレイドルで死んだ同胞達に報いるためにも…」
      「この手で地球の未来を作り出し、守っていかねばならぬ…」

イルイ「う……」

ゼンガー「イルイ…俺達の所へ戻れ。お前の使命もまた俺と同じならば…」
      「お前自身の力で、俺達と共にそれを果たすのだ」

イルイ「…う…うう……」

ゼンガー「ガンエデンを捨てろ。我らに偽神などいらぬ……!」

イルイ「う……あ、ああ……!」

ゼンガー「イルイよ! ガンエデンを捨てろ!!」
      「己の意志で! お前と我らの未来を呪縛する偽りの神を捨てるのだッ!!」

イルイ「ああああああっ!!!」
    「あああああああ…!!」

ゼンガー「イルイッ!!」

イルイ「ああ……あああ…!」

ゼンガー「な……何ッ!?」

イルイ「…あ、あああ……ゼンガー………」

ゼンガー「!!」

イルイ「…わ、私は…イルイ……バラルの…主……」

ゼンガー「!?」

イルイ「た……た…す…けて……!」

ゼンガー「イ、イルイッ!!」

イルイ「マ…シアフ……ガンエデンの……巫女………」

イルイ「い…た…い……くるし…い………!」

イルイ「地球の…守護……神………」

ゼンガー「こ…これは!?」

イルイ「あ…ああ…わ…たしが………わか…れる………!」
    「二つに……わかれる……」


ガンエデン「…我は地球の守護者…。人造神ガンエデン……」

イルイ「………………」

ガンエデン「…再び目覚めよ、巫女よ……。神の子、イルイ……」
       「汝の力は我のためにある…。我の力は汝のためにある……」
       「全ては…この星…最後の楽園を護るために…」
       「誰も寄せつけてはならぬ…。誰も外界に出してはならぬ……」
       「…封印せよ……。最後の楽園を……封印せよ………」
       「この星は…災厄より逃れし者達の楽園……。決して失われてはならぬ……」

イルイ「…最後の楽園を…封印…」

ゼンガー「!!」

イルイ「……………」

ゼンガー「ガンエデンッ!!」

ガンエデン「…幾多の剣よ…」
       「…お前達は我の力によって永久に封印されるのだ…。この星と共に……」

ゼンガー「貴様ぁぁぁぁッ!!!」

(ガンエデンから閃光が立ち上る)

デュオ「くそっ! このままじゃ、俺達の帰る所がなくなっちまうぜ!」

コウ「やはり、ガンエデンとは戦うしかないのか…!?」

ゼンガー「まだだ! まだ全てが終わったわけではない!!」
      「俺はあきらめん! ここであきらめたら…」
      「ククルや多くの人間は何のために死んでいったのだ!?」

レーツェル「ゼンガー…!」

ゼンガー「頼む! 皆の力を今一度俺に貸してくれ!!」
      「イルイをガンエデンから引き離すために!!」

アムロ「そうだ…! イルイはガンエデンと分離しかかっている…!」
    「みんなで彼女に呼びかけるんだ!」

甲児「!?」

トビア「ぼ、僕達がですか!?」

アムロ「方法はそれしかない! 俺達の力で、イルイを救うんだ!」




<二度目のイルイ説得後>

イルイ「……………」

イルイ「…………」

カミーユ「…イルイが……二人…?」

イルイ「……………」

イルイ「みんな、ありがとう……」

ゼンガー「!! イルイ…意識を取り戻したのか!?」

イルイ「…ううん…そうじゃない。ガンエデンが…私を切り離して、消去しようとしているから……」

凱「消去…!?」

イルイ「そう……。私がみんなの声を聞いたから……」
    「みんなの所へ帰りたいと思ったから………」
    「ガンエデンは私を消すの……」


ゼンガー「イルイ……!」

イルイ「ゼンガー…みんな…色々と迷惑をかけてごめんなさい……」
    「…最後に…私のお願いを一つ聞いて……」


ゼンガー「願いだと…!? まさか、それは…!」

イルイ「そう……私ごと…ガンエデンを壊して……」
    「早く……私を壊して……」


比瑪「そ、そんな! そんなこと出来るわけじゃいじゃない!」

イルイ「…お願い…。私がガンエデンの力を抑えている内に……」
    「早く…私とガンエデンを壊して…早く……」


ゼンガー「それを…俺達にやれと言うのか、イルイ…!」

イルイ「…お願い…お願いだから……」

一矢「く、くそっ…! どうしようもないのか…!?」

勇「ここまで来て…こんな結末か…?」

麗雄「あきらめるな。彼女を助ける方法なら、まだある…!」

勇「え…!?」

凱「本当なのか!?」

麗雄「うむ。危険な賭けになるが…それでもやるか?」

凱「ああ、もちろんだ!」

甲児「それで、助ける方法って何なんです!?」

麗雄「ガンエデンの機能を停止させると同時にイルイ君を助けるんだ」

甲児「へ!? そ、それだけ!?」

ジュドー「そ、そうか…! 要は…」

カミーユ「俺達がフォウやプルを助けた方法と同じ…!」

麗雄「ただし、時間はない。イルイ君が完全に支配されてしまえば、手遅れとなる…」
   (それに…もし、彼女がガンエデンの最終安全装置としての役目も持たされていたら……)
   (いや…今は賭けるしかない。どのみち、ガンエデンを破壊しなければ地球に未来はない…!)

ブライト「よし! 全機、攻撃をガンエデンに集中し、機能を停止させろ!」
     「我々自身の力で、地球とイルイを救うんだ!!」



<ゼンガー対イルイ>

ゼンガー「吠えろッ! ダイゼンガー!!」
      「猛き武神となりて、偽神を断つのだッ!!」



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