<インターミッション・ブリーフィングルーム>
カイ「各作業が終わり次第、我々はL5宙域のホワイトスターへ向かう」
「その前にキョウスケ……お前とエクセレンについての話を
詳しく聞かせてもらいたい」
キョウスケ「……」
カイ「そこからお前達二人の共通点……
そして、アインストとの関連性がわかるかも知れんからな」
キョウスケ「……了解です」
「おれとエクセレンの共通点……そして、アインストの声が
聞こえるようになった理由……」
「それらについて色々考えた結果、シャトルの墜落事故
ではないかと思います」
イルム「あの事故か……」
レーツェル「どのような事故だったのだ?」
ゼンガー「キョウスケが伊豆基地に配属される前……」
「士官候補生達が乗ったシャトルが大気圏突破直後に
爆発炎上し、墜落……」
「生存者はわずか2名という大惨事となった」
レーツェル「その生存者がキョウスケ中尉とエクセレン少尉か」
ゼンガー「ああ、連邦軍の一部では有名な話だ」
イルム「伊豆にいた俺達の間でも、えらく運の強い新人が来ると
話題になりましたからね」
ヴィレッタ「……事故の原因は?」
イルム「機体に不備があったせいだと聞いてますが……」
ギリアム「……事実は違う」
イルム「!」
カイ「調べたのか、ギリアム?」
ギリアム「ええ。ストーンサークルでの件が気になり……」
「俺の方でもキョウスケ中尉とエクセレン少尉の
経歴について調査したのです」
レーツェル「その結果、シャトル事故が引っ掛かったのか」
ギリアム「ああ」
ヴィレッタ「それで、事実とは?」
ギリアム「……あの事故はシャトルに何者かが衝突して
引き起こされたものだったようだ」
キョウスケ「!」
ゼンガー「何が衝突したのだ?」
ギリアム「資料によれば……あの当時、
各地に出没していたエアロゲイターの偵察機だと推測されている」
ゼンガー「推測? 何故だ?」
ギリアム「それは……衝突した物体の破片が回収されなかったからだ」
キョウスケ「……」
ヴィレッタ「不自然な話ね」
ギリアム「ああ。レーツェルが初めてバグスと接触して以来……」
「こちらで撃墜……あるいは墜落したエアロゲイター機の
破片は回収されていたからな」
キョウスケ「……」
ギリアム「そして……不自然な点は破片の件だけではなかった」
「あれだけの事故にも拘わらず、キョウスケ中尉とエクセレン少尉は
生きていたばかりか……」
「彼女に至っては、焼け焦げどころか、身体や衣服に
何の損傷もなかったという」
キョウスケ「……!」
イルム「そいつぁ、運が良かったって言葉だけで片づけられはしないな」
ヴィレッタ「キョウスケ中尉、あなたは?」
キョウスケ「……おれは病院送りになりました。
重症ではありませんでしたが……」
ヴィレッタ「事故の瞬間のことは?」
キョウスケ「目の前が爆煙で覆われた時……おれは
隣にいたエクセレンをかばった……」
「そこから助け出されるまでの記憶はない……」
ギリアム「……」
キョウスケ「いや……あの時、エクセレンは致命傷を負っていた」
カイ「何だと……?」
キョウスケ「だから、無傷であったはずがない……」
ギリアム「……」
「もしかしたら、シャトルに衝突したのはエアロゲイターではなく……」
(ブザー音)
ギリアム「!」
ユン「本艦へアンノウンが接近中! 総員第一種戦闘配置!」
「繰り返す! 本艦へアンノウンが接近中! 総員第一種戦闘配置!」
レーツェル「アンノウンだと?」
キョウスケ「まさか……!?」
<戦闘開始直後・アインスト増援出現>
カーラ「ホ、ホントにアインストが出てきたよっ!」
カチーナ「チッ、言わんこっちゃねえ!」
キョウスケ「いかん、このままでは……!」
エクセレン「……」
キョウスケ(この状況を打開するには……)
エクセレン「……」
キョウスケ(エクセレン……お前を……!)
レフィーナ「キョウスケ中尉!
こちらは出撃できるよう何とか手を考えます!」
「それまでの間、保たせて下さい!」
キョウスケ「……」
レフィーナ「どうしました、キョウスケ中尉!?」
キョウスケ「……レフィーナ艦長、クロガネとヒリュウに
仕掛けをしたのはあいつだ……」
レフィーナ「!」
キョウスケ「ならば、おれがあいつを落とせば……!」
レフィーナ「ちゅ、中尉!?」
キョウスケ「方法は……それしかない」
シャイン「ダメ! ダメでございます!」
キョウスケ「!」
シャイン「助けられます! 絶対に!
でないと、後悔なさいますわよ!」
アラド「そ、そうだ! 諦めちゃダメだ、キョウスケ中尉!」
ゼオラ「中尉が諦めたら、エクセレン少尉はどうなるんですか!?」
キョウスケ「だが、あいつは既に……」
アヤ「いいえ、取り戻せるわ! それが出来るのはあなたしかいない!」
「あなたがエクセレンの心に強く訴えかければ、必ず……!」
キョウスケ「……!」
イルム「どのみち、今動けるのはお前しかいないからな。それに……」
「惚れた女を助けるのは、男の役目だぜ、キョウスケ君?」
キョウスケ「……」
リューネ「それでもエクセレンを落とすなんて言ったら、承知しないよ!」
キョウスケ「しかし、そちらがその状況では……!」
マサキ「ヘッ! てめえに心配されなきゃならねえほど
俺達はヤワじゃねえ!」
リュウセイ「だから、中尉はエクセレン少尉を!」
キョウスケ「マサキ……リュウセイ……」
ブリット「キョウスケ中尉、チャンスは今しかありませんよ!」
クスハ「キョウスケ中尉の声なら、必ずエクセレン少尉に届くと思います!」
キョウスケ「ブリット……クスハ……」
ゼンガー「皆の言う通りだ、キョウスケ」
キョウスケ「ゼンガー少佐……!」
ゼンガー「エクセレンに取り憑いたものを……斬れ。撃ち貫け」
「そして……お前の手で彼女を取り戻すのだ」
キョウスケ「……」
「…………」
「了解」
ゼンガー「それでいい。後は我らがいかにして外へ出るかだが……」
ギリアム「エネルギーフィールドはこちらで解析する。
ラミア、タカクラチーフ……すまんが、作業を手伝ってくれ」
ツグミ「は、はい!」
ラミア「了解」
テツヤ「よし……! パイロット各員はデッキで待機!
すぐに出られるようにしておけ!」
エクセレン「……」
キョウスケ「行くぞ、エクセレン……」
(キョウスケに集中・加速・鉄壁・必中・気迫が掛かる)
キョウスケ「お前を取り戻す。このリーゼと……おれの手でな」
<ペルゼイン・リヒカイト撃破後、ライン・ヴァイスリッターのHP5%以下>
エクセレン「うう……う……! ああああ……!!」
リュウセイ「ヴァイスがひるんだ!?」
ゼンガー「今だ! キョウスケ!!」
キョウスケ「了解……!」
(ライン・ヴァイスの額に一撃を加えるアルト・リーゼ)
エクセレン「う、ううう……ああっ!!」
キョウスケ「動くな、エクセレン……! 今、助ける!」
(波動がライン・ヴァイスから発せられる)
キョウスケ「何だ!?」
エクセレン「………」
???(オマエノ役目ハ……終ワッタ……)
エクセレン「………」
キョウスケ「誰だ……!? 誰が喋っている? 貴様は何者だ!?」
???(ヤハリ……混沌カラ純粋ナル者ハ……生マレヌ……)
(ヤハリ……ルーツハ一ツデアラネバ……ナラヌ……)
(理解シタ……理解シタ……理解……)
キョウスケ「何を理解したか知らんが……何故、エクセレンだけをさらった?」
???(…………)
キョウスケ「おれにも貴様の声が聞える。だから、無関係だとは言わせん」
???(…………)
キョウスケ「どうして、おれをさらわなかった?」
???(オマエハ……不完全……ダカラ……不必要……)
キョウスケ「不完全だと……!?」
???(不完全……不必要……)
(爆発を起こすライン・ヴァイス)
エクセレン「あああっ! ああああ……!!」
キョウスケ「ヴァイスが!? エクセレン! おいっ!!」
マイ「な、何かが抜けていく……!」
アヤ「あの念が……消える……!」
ラミア「エクセ姉様……!!」
(コントロールが解けるライン・ヴァイス)
キョウスケ「エクセレン!」
エクセレン「ん、んん……? キョウ……スケ?」
キョウスケ「!!」
リオ「エクセレン少尉、正気に戻ったんですか……!?」
ユウキ「だが、あれは本当に少尉なのか?」
ギリアム「……」
キョウスケ「エクセレン……!」
エクセレン「うう〜……頭がガンガンする……」
ラッセル「な、何か確かめる方法は……?」
アラド「……おれがやってみます」
ラッセル「え!?」
ゼオラ「確かめるって……どうやって!?」
アラド「ま、いいからいいから……おれに任せてくれよ」
「……エクセレン少尉、おれと初めて会った時のことって覚えてます?」
エクセレン「初めて会った時……?」
アラド「ええ。その時、おれに言ってくれたことがあるじゃないッスか」
エクセレン「あ〜……思い出した。バニーちゃんのことね」
「もち、覚えてるわよん。
一段落ついたら、お姉さんが着て見せてあ・げ・るv」
アラド「喜んで!」
ゼオラ「ちょっと、アラド!
バ、バ、バ、バニーちゃんって、どーゆーことよっ!?」
アラド「し、知らねえの? ほら、ウサミミに網タイツの……」
ゼオラ「そういうこと聞いてるんじゃないわ!!」
「何でエクセレン少尉とそんな約束をしたのよ!?」
アラド「そ、それはその場の成り行きって奴でさぁ……」
ゼオラ「んも〜、信じらんない! バカ! エッチ! スケベ!!」
アラド「トホホ……おれが頼んだわけじゃねえのに」
ゼオラ「同じことよっ!」
エクセレン「んじゃ、代わりにゼオラちゃんが着てみる? バニーちゃんの服」
ゼオラ「えっ!?」
タスク「あ、そりゃいいかも。
あの子、ラミアさんに負けず劣らずボインちゃんだしなあ」
ラミア「……」
ゼオラ「あ、あの……?」
エクセレン「あなただったらブリット君の鼻血、8メートルは間違いなしよん」
ブリット「な、な、何で自分がそこへ出てくるんですかっ!?」
クスハ「ブリット君……もしかして」
ブリット「ち、違う! 誤解だ! 俺はまだ見てない!」
クスハ「まだ……!?」
ブリット「い、いや、見るつもりもないって!」
エクセレン「はいは〜い、そっちのお二人さんもケンカはや・め・て、ね?」
リュウセイ「……あのノリ、どう考えても本物だよなあ」
マサキ「ああ、間違いねえ」
シロ「周りを巻き込むあのペース……そう簡単に真似できニャいもんニャ」
キョウスケ「……いつもの調子か」
リューネ「ようやく、だね。何にせよ元に戻って良かったよ」
クロ「でも、こんニャ時に軽口を叩いたりしニャい……ねえ」
キョウスケ「……」
エクセレン「え? 何なの、キョウスケ?」
キョウスケ「……何でもない」
テツヤ「……こちらアイアン3。これより本艦とヒリュウはL5宙域へ向かう」
「各機は直ちに帰還せよ」
キョウスケ「了解」
エクセレン「……キョウスケ……」
キョウスケ「ん……?」
エクセレン「ありがと……本当に。……私……」
キョウスケ「……気にするな。お前はいつものお前でいればいい」
エクセレン「……うん……」
<アフターミッション・ヒリュウ改医務室>
クスハ「……具合はどうですか? エクセレン少尉……」
エクセレン「まだ頭がボーッとするけど、
大丈夫よん。お肌の張りもほら、バッチリだし」
クスハ「診察の結果、身体の方に異常はありませんでした」
「後はラーダさんの方で何もなければ……」
エクセレン「う〜ん……そっちはあまり自信がないのよね」
マサキ「ま、どっからどう見たって
いつものエクセレンだし、心配するこたあねえと思うけどな」
ギリアム「だが……疑問は残るな」
キョウスケ「ええ……。奴らがエクセレンをさらった理由……
それがわからない」
ゼンガー「……」
エクセレン「ん〜……もしかして、私の美貌のせいとか?」
キョウスケ「あり得んな」
ゼンガー「うむ」
エクセレン「あらら、そんな……二人して」
ラミア(やはり……エクセ姉様がああなっていたのは
あのヴァイスのせいか……)
(ラーダが入って来る)
ラーダ「……エクセレン、診察の結果が出たわ」
エクセレン「ラーダさん、答えは……こっち?」
シロ「んニャ?」
エクセレン「それとも……こっちの方?」
クロ「……あんまり嬉しくニャい例えだニャ」
ラーダ「結果は……シロちゃんの方よ」
ブリット「じゃ、じゃあ……!」
ラーダ「ええ、私の方でも特に異常は見られなかったわ」
クスハ「良かった……」
マサキ「これでお墨付きが出たってわけか」
エクセレン「心配かけてホントにごめんね」
ブリット「いえ、少尉が無事ならそれでいいんです」
キョウスケ「……後はお前がさらわれた理由とアインストについて、だな」
ギリアム「何かわかるか、少尉?」
エクセレン「実は……向こうに行ってた時のこと、あんまり覚えてなくて」
ギリアム「では、例の事故とアインストの関連性については?」
エクセレン「……あのこと、話したの? キョウスケ」
キョウスケ「ああ」
ギリアム「これはあくまでも俺の予測だが……」
「お前達が乗っていたシャトルに
衝突したのは、エアロゲイターの偵察機ではなく……」
「アインストだったのではないか?」
エクセレン「……」
ゼンガー「思い当たるフシはあるか?」
エクセレン「……よく……わかりません」
キョウスケ「……」
「……何故、お前だった?」
エクセレン「え、何が?」
キョウスケ「アインストは何故俺でなく、お前を操った?」
エクセレン「う〜ん、無愛想な能面男より若い女の方が……」
キョウスケ「真面目に答えろ」
エクセレン「……ごめん……わからない」
ラーダ「その事故とアインストに関係があるのなら……」
「キョウスケ中尉が操られていてもおかしくないわね」
ラミア「しかし……中尉は伊豆の時、アルフィミィの思念を拒絶した」
クスハ「……蚩尤塚に行った時、あの子が操ったのは私達ではなく……
グルンガスト参式の方でした」
ブリット「ああ。アルフィミィは
参式のT-LINKシステムを介して機体の動きを止めた」
マサキ「つまり、あいつは人を思いのままに操れるほどの力を
持っていないってことか」
ブリット「多分な」
クスハ「でも、彼女の思念は徐々に強まっていっているような気がする……」
エクセレン「……」
ラミア「エクセ姉様……アインストのストーンサークルについては?」
エクセレン「あれはおそらく……
アインストがいる世界と私達の世界をつなげる『扉』の一つ……」
「でも、それは不安定で……いつでも開けるわけじゃない」
ラミア「つまり、今のシステムXNと同じ……」
「しかし、アインストは個々が
転移機能を持っています。なのに、何故『扉』が必要なのです?」
エクセレン「多分……別の目的のために……」
ギリアム「……」
「では、その目的とは?」
エクセレン「……」
キョウスケ「奴らがいう始まりの地……
地球とそこで生きるおれ達人類を滅ぼすことか?」
エクセレン「それだけとは思ってないでしょ? キョウスケ」
キョウスケ「ああ。地球と人類を滅亡させることが最終目的なら、
もっと単純な攻めをしてくるだろう」
「奴らはおれ達は地球圏の情勢を探りつつ、何かの準備をしている」
「そして、何らかの条件……自分達にとって必要な物が揃うのを
待っているように思える」
マサキ「必要な物だと……?」
ギリアム「……」
ゼンガー「もしや、キョウスケ……お前か?」
キョウスケ「いえ、もうおれは必要とされないようです」
ギリアム「……彼らの声を聞いたのか?」
キョウスケ「ええ」
ゼンガー「では、他に必要な物とは?」
キョウスケ「それは……」
「今、奴らが集中的に
攻撃を仕掛けているホワイトスターなのかも知れません……」
エクセレン「……」
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