+第8話・離別、そして+


<インターミッション・ヒリュウ改艦橋>

レフィーナ「………」

ゼンガー「…お一人ですか? 艦長」

レフィーナ「はい…。少しの間でもブリッジクルーを休ませようと思って…」
      「それに…あんなことがあった後ですから…」

ゼンガー「…艦長、いついかなる時でも、優秀な指揮官であろうとするのは当然のことです」
      「だが…勝たねばならない時、絶対に敗れてはならない時…」
      「必勝の一太刀が抜けなければ、何の意味もない」
      「そのためには、己の心を常に平静に保っておく必要があります」

レフィーナ「…何がおっしゃりたいのですか、少佐?」

ゼンガー「失礼ですが、自分には艦長が戦いに脅えておられるように見えます」

レフィーナ「…少佐にはお見通しなんですね…」
      「そうです…。ヒリュウ改の艦長になった時から、覚悟は決めていたのですが…」
      「……私は…」

ゼンガー「…目の前の敵を倒す。戦場で、それを忘れた者は死あるのみです」

レフィーナ「ゼンガー少佐…あなたは何故、そんなに強いのです…?」

ゼンガー「いえ、自分はただ…逃げ道を知らぬだけです」
      「故に現状に対してもがく…。他人の目には、それが強者の姿として映るのでしょう」
      「しかし…自分の強さなど、我々を逃がしてくれた司令達の足下にも及びません」

レフィーナ「あの時、ラングレーから脱出したのは…果たして正しい決断だったのでしょうか?」

ゼンガー「でなければ、今頃自分達は、基地と命運を共にしているところでした」

レフィーナ「ありがとうございます。ゼンガー少佐にそう言って頂けると、助かります…」

ゼンガー「………」
      (…今の連邦軍では、DCやコロニー統合軍を倒すことは出来ん…)
      (このままでは、前世紀以上の世界大戦となり…人類全体が疲れ果ててしまう)
      (…打開策が必要だ。そう…劇的な策が…)




<戦闘開始直後>

(連邦軍艦隊全滅)

テンペスト「これで片付いた。さあ…来るがいい、ヒリュウ改…」
       「いや、ゼンガー・ゾンボルトよ!」

(ヒリュウ改出現)

レフィーナ「こ、これは…!?」

ユン「連邦軍艦隊、全滅です…!」

ショーン「やはり、間に合いませんでしたか…!」

ゼンガー「こちらアサルト1! ATXチーム、出撃する!!」

(PT部隊全機出撃)

エクセレン「あっちゃぁ〜…全滅させちゃう? 普通」

キョウスケ「手際の良さはさすがだな」

ゼンガー「…こちらの手の内は読まれていたか…!」

テンペスト「貴様らの後ろ盾は、もはや存在せん…」
       「連邦の艦隊もろとも、この呪われた海に沈むがいい!」

ゼンガー「テンペスト少佐…!」
      「無意味に地球の戦力を削れば、どういうことになるか…わかっているのか!?」

テンペスト「旧態依然とした連邦軍では、未知なる敵…異星人に対応することは出来ん」
       「この星は、ビアン総帥率いるDCでなければ、救えんのだ」
       「もっとも…俺は連邦を潰すことが出来れば、それでいいのだがな」

テンザン「俺もバトルを楽しめさえすりゃ、どうでもいいっての」

ゼンガー「貴様ら、あくまでも私欲を満たすことが目的か…!」

テンザン「ホ! あんた、つくづくカッコいいねえ。敵にしとくにゃ惜しいっての」

テンペスト「ゼンガーよ…。大義なき連邦軍へ荷担している貴様に、俺を否定する資格はない」
       「そして、ビアン総帥とマイヤー総司令の志…それらも理解不可能だろう」

キョウスケ「何もかもわかっているような口調…気に入らんな」

エクセレン「DCの目的…なんか裏がありそうな感じはするわねえ」

ゼンガー「アサルト1より各機へ! 援軍は期待できん。我々だけでこの場を切り抜ける!」

カチーナ「ハッ! こっちは最初からそのつもりだぜ!」

エクセレン「はぁい」

ブリット「アサルト3、了解!」

ラッセル「オクト2、了解!」

テンペスト「…愚かだな、ゼンガー。連邦軍の残存部隊が、貴様らの頼みの綱だったはず」
       「もはや、援軍はありえん。それでも戦うか?」

ゼンガー「…だからこそ、戦う」

テンペスト「貴様らしい返答だ」

ゼンガー「テンペスト少佐…! 追いつめられたネズミは猫に食らいつくことを忘れるな」

キョウスケ(…とはいえ、どこかで撤退しなければなるまい)
       (おそらく、隊長もそのきっかけを探しているはずだ)




<規定ターン(5〜7)経過orテンペスト機かテンザン機のHP60%↓>

(エルザム隊出現)

カチーナ「チッ! 伏兵がいやがったのかよ!!」

ブリット「おかしいですよ! 何でさっきの敵部隊は、撤退する必要があったんです!?」

エクセレン「もしかして、代打で送りバントって奴?」

ブリット「送るってどこへ!?」

エクセレン「ん〜、地獄ってとこ?」

キョウスケ「何かのワナか? それとも…」

エルザム「あれがヒリュウ改…。そして、ゼンガー・ゾンボルト率いるATXチームか」

ゼンガー「!! あの黒い機体、そして紋章は…!?」

エルザム「久しぶりだな、我が友よ」

ゼンガー「エルザム・V・ブランシュタイン…やはり、貴様か」

エルザム「かつて、同じ教導隊に所属していた者が、今は敵同士…。運命とは皮肉なものだな」

ゼンガー「確かにな。このことをカーウァイ・ラウ大佐が知ったら、悲しむだろう」

エルザム「だが…あの方は身を以て、我々へ異星人の脅威を伝えてくれた」
      「そして…今の連邦軍では、奴らに対抗出来んということもな」

ゼンガー「だが、連邦に反旗を翻せば、世界に混乱を招く…」
      「そのことがわからぬお前ではあるまい」

エルザム「全て承知の上での判断だ」

ゼンガー「……!」

ブリット「隊長は敵と何を話しているんだ…!?」

キョウスケ「…かつての仲間…? だとすれば、相手は…!」

エクセレン「わお、あの黒い機体のパーソナルマークって…」
       「もしかして、名門ブランシュタイン家の紋章じゃない?」

カチーナ「! ブランシュタインだと…!?」

ブリット「その名前、どこかで…」

カチーナ「何言ってんだ! コロニー統合軍の総大将の名前だろうが!」

ブリット「あ…!!」

ショーン「間違いありませんな。あの人物はエルザム・V・ブランシュタイン…」
     「コロニー統合軍総司令・マイヤーの長男であり、教導隊出身のトップエースです」

キョウスケ(やはり、隊長の元同僚か)

エクセレン「つまり、エリート中のエリートってわけね。理解した? ブリット君」

ブリット「は、はい…!」

エクセレン「どのみち、とんだピンチヒッターってことね」

キョウスケ「どうあっても、ここでおれ達を潰すつもりらしいな。…隊長!」

ゼンガー「心配するな。相手が誰であろうと、立ち塞がる者は斬り捨てるのみ…!」

エルザム「変わらんな、ゼンガー…」

ゼンガー「こちら、アサルト1。この場は自分が抑える。ヒリュウ改はその間に離脱されたし!」

レフィーナ「え!?」

ゼンガー「艦長、このままではキリがありません。それにあの男は易々と倒れてくれる相手でもない…!」
      「ここは自分に任せ、ヒリュウ改は…」

キョウスケ「いえ…。ならば、なおさらのことです、隊長」
       「…ここで逆に奴を倒せば、統合軍へ痛手を与えることが出来る」

エルザム「良い判断だ。しかし、状況の見極めが甘い。賭けとも受け取れるが…若いな」

キョウスケ「頭だけで考えて諦めるほど、物分かりのいい大人でもない」
       「それに…不必要に余裕を見せるのは嫌いでな」

エルザム「こういう性分だ…。気に障ったのなら、容赦願いたい」

エクセレン「キョウスケの場合は、深く考えてないだけって話もあるけど…」
       「あのお兄さんも、結構面白い人よねえ。そう思わない? ブリット君」

ブリット「今度は…今度は逃げないぞ。自分の活路は…自分で切り開いてみせる!」

エクセレン「あらら、こっちの若い衆はやる気満々ね。ま、ここまで来て尻尾は巻けない…って話でひとつ」

エルザム「フフ…。良い部下を持ったな、ゼンガー」

ゼンガー「…それだけでは、これからの戦い…勝つことは出来ん」

エルザム「ならば、どうする? エアロゲイター相手に、こちらの常識や理想論は通用すまい」
      「我々の試練を乗り越えた者でなければ…彼らに打ち勝つことは、不可能なのだ」

ゼンガー「……!」

エルザム「さあ、お前達に与えられた選択肢は二つ…」
      「降伏か、死か。好きな方を選べ」

ゼンガー「エルザム、お前は…!?」

エルザム「即答出来んか、ゼンガー。ならば、そこのパイロット…お前はどちらを選ぶ?」

キョウスケ「どちらでもない。おれは敵と戦うだけだ。負ければ…」
       「身も心も…撃たれて散らばるだけだ」

エルザム「良い返答だ。ならば、己の運命は…己の手で切り開いて見せるがいい」




<ガーリオン・トロンベHP20%↓>

エルザム「腕は衰えていないようだな、ゼンガー」 (以下HP0の場合と同じ)




<ガーリオン・トロンベHP0>

エルザム「我がトロンベを落とすとは…さすがだな、ゼンガー」

ゼンガー「全力で戦っていたわけではあるまい…!」

エルザム「悪いが、お前達相手に手を抜くほどの余裕は、持ち合わせていない」

ゼンガー「…何を隠している、エルザム…!?」

ブリット「あの黒い機体が動きを止めた…!?」

カチーナ「チャンスだ! 今なら一気に奴を倒せるぜ!!」

ゼンガー「………」

キョウスケ「…何だ…? 迷って…いる?」

ゼンガー「エルザム、お前の真意はどこにある? 俺に何を伝えようとしている?」

エルザム「…それを受け入れる勇気があるのなら…教えてやる」

(ガーリオン・トロンベ爆発/撤退)

ゼンガー「………」

エクセレン「あらら、逃がしちゃった。ちょっとボス! 責任…とってよね。私、本気だったんだから…」

ゼンガー「…そうか。そういうことか、エルザム…」
      「お前達は…いや、お前はあえてイバラの道を…」

キョウスケ「…隊長?」

ゼンガー「キョウスケ、俺は奴を…エルザムを追う」

キョウスケ「隊長、深追いは禁物です。今の内に、この空域から離脱を…」

ゼンガー「…俺は俺の進むべき道を見つけた」

キョウスケ「!?」

エクセレン「あらら、ボス? キョウスケ、絶対ヘンよ! いつものボスじゃ…」

キョウスケ「どういうことです!? 隊長! 何を考えて…!」

ゼンガー「…後は頼む、キョウスケ」

(グルンガスト零式撤退)

ユン「アサルト1、応答して下さい! アサルト1、応答を!」

レフィーナ「ゼンガー少佐、何故…!?」




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