+第6話・白銀の堕天使+


<インターミッション・北米支部司令部>

グレッグ「…というわけで、レフィーナ・エンフィールド中佐。ATXチームは君に預ける」
     「多少クセの強い連中だが、能力は確かだ。よろしく頼む」

レフィーナ(…あれで…多少…?)

グレッグ「どうかしたのかね?」

レフィーナ「い、いえ。彼らには合流時に助けて頂きましたし、信頼に足るものだと思います」

ゼンガー「ところで司令…マーケサズ諸島制圧作戦の結果は?」

グレッグ「…惨敗だ」

レフィーナ「DCの態勢が整う前に…という電撃作戦だったはずですが、それが…惨敗…ですか?」

グレッグ「うむ。彼らが用意していたアーマードモジュールによる反撃はもとより…」
      「コロニー統合軍による軍事衛星網の掌握がネックになった」

ゼンガー「もしや、宇宙ステーションのコルムナも?」

グレッグ「うむ。今の連邦軍は目と耳を半分塞がれたも同然の状態だ」

ショーン「仕方ありません。宇宙に駐留している軍隊の9割近くが一気に反旗を翻したのですから」
     「そして、それを成し遂げたマイヤーという男…噂以上の切れ者ですな」

グレッグ「うむ。名門の軍人一族、ブランシュタイン家の名は伊達ではないということだ」

ゼンガー(…ブランシュタインか。ならば、エルザム…お前も…)




<戦闘開始直後>

ユン「迎撃の飛行隊、戦車隊全滅! 敵部隊、第4防衛ラインを突破!」

レフィーナ「思った以上に早い…!」

ショーン「各地の連邦軍が敗退続きだというのも納得がいきますな」

ユン「敵部隊、まもなく最終防衛ラインを突破します!」

エクセレン「んじゃま、丁重にお出迎えしましょうか。…ボク、こういうとこ…初めて?」

キョウスケ「どこで出迎えてるんだ。…ゼンガー少佐、こうなれば水際作戦しかないのでは?」

ゼンガー「うむ。各機、出撃せよ!」

(敵部隊出現)

テンペスト「さすがは北米支部基地…それなりにPTをそろえているな」
       「もっとも、試作機を投入している時点で底が見えているが」
       「各機へ! 敵は陸戦型の機体ばかりだ。我々のAMの敵ではない」
       「司令部を破壊し、この基地を制圧しろ!」

ブリット「あの機体…データにない! 新型のAMか!?」

ラッセル「ふ、雰囲気的には指揮官用の機体みたいですね…」

カチーナ「ハッ、面白い! あいつはあたしが頂くぜ!!」

グレッグ「………報告は以上だ、ゼンガー少佐」

ゼンガー「……! 司令、それは本当ですか!?」

グレッグ「…残念だが、そうだ」

ゼンガー「全員、そのまま聞け!」
      「たった今、南米及びオーストラリアの連邦軍基地は…」
      「親DC派部隊の一斉蜂起により、制圧された!」

ラッセル「ええっ!?」

ブリット「親DC派部隊って…敵は身内にもいたんですか!?」

ゼンガー「…その通りだ。ジュネーブの連邦軍総司令部こそ健在だが、南米地区が敵の手に落ちた今…」
      「巻き返しを図るためにも、この北米基地は死守しなければならん!」

キョウスケ「了解。作戦は基地司令部を守りながら…」
       「敵機を殲滅…これで?」

ゼンガー「そうだ!」

キョウスケ「エクセレン! 試作機は!」

エクセレン「女の子のお出かけは、準備に時間がかかる…ってとこ?」

キョウスケ「了解。…博士を急がせろ。味方は一機でも多い方がいい」
       「お前の試作機にテスラ・ドライブが搭載されているのなら…なおさらな」

エクセレン「了解。んじゃま、露払いはよろしくね」




<敵2ターン目>

ゼンガー(波状攻撃…。しかる後、トドメの一撃……)
      (この戦法…間違いない、テンペスト少佐か)
      「アサルト1より各機へ。敵は切り札を隠し持っている。油断するなよ」

カチーナ「何でそんなことがわかるのさ!?」

ゼンガー「油断をするなと言っている!」

カチーナ「!?」

キョウスケ「…了解」




<テンペスト機撃墜>

テンペスト「まだ慣らしが終わっていないとは言え、この機体を落とすとは…やるな」

ゼンガー「AMの機動性を生かし、最初に全機で基地司令部へ突撃すべきだったな」

テンペスト「! 貴様は…」

ゼンガー「二の太刀を頼る者に、俺達を倒すことは出来ん」

テンペスト「その物言い…。ゼンガー…ゼンガー・ゾンボルトだな!?」

ゼンガー「…いかにも。テンペスト・ホーカー少佐」

テンペスト「ふん…俺のことはわかっていたようだな」

キョウスケ(何…? この二人…互いを知っているのか?)

テンペスト「フン…。かつて、同じ部隊に所属していた貴様とやり合うことになるとはな」

ゼンガー「特殊戦技教導隊はもう存在しない。…あの頃の我々も、また」

レフィーナ「! 教導隊…!?」

ショーン「…数年前、エリートパイロットを選りすぐって結成された部隊です」
     「そして、彼らは現在のPT戦術、操縦技術の基礎を作り上げました」
ブリット「ゼ、ゼンガー隊長がそんな部隊の出身だったなんて…。ど、道理で…」

ゼンガー「…どんな崇高な目的を掲げようとも、しょせんは人殺しの技術を教える…戦争屋の集団だ」

テンペスト「そのとおりだ。しかし、連邦はそれすら理解し、実行することが出来なかった」
       「いや、奴らは昔からそうだ。…16年前もそうだった」
       「だからこそ、あのコロニーの事件で…俺の妻と娘は死んだのだ!」

カチーナ「コロニーでの事件…!?」

テンペスト「だが、俺は死なんぞ…! 貴様らに…連邦に妻と娘と同じ苦しみを味あわせるまでは!」
       「俺は死なんぞ!!」

(テンペスト機爆発)

ゼンガー「………」

カチーナ「何だ、あいつ!? 負け惜しみを言いやがって…」

ユン「艦長! 北東より熱源! この反応は…!」

ブリット「大型ミサイル! まさか、MAPWか!?」
     「た、隊長! 敵はこの基地ごと俺達を吹き飛ばすつもりです!!」

ゼンガー(やはり、切り札を用意していたか…!)

キョウスケ「エクセレン! 基地の人間をシェルターに先導しろ!」
       「エクセレン! …応答しろ! エクセレン!」

レフィーナ「この距離では…!」

ショーン「…ミサイルの推進装置のみを狙って、叩き落とすしかありませんな」
     「しかし…出来るかどうか…」

キョウスケ「やるしかあるまい…!」

マリオン「エクセレン少尉!」

エクセレン「了解! さて、と。ずいぶん時間がかかっちゃったけど、やるしか…ないみたいね」

キョウスケ「…エクセレン…!?」

(ヴァイスリッター出現)

レフィーナ「あれは…!」

キョウスケ「間に合ったか…!」

ブリット「パ、パーソナルトルーパーが人型のままで空を飛んでる!?」
     「もしかして、AMと同じで小型のテスラ・ドライブを!?」

マリオン「私のポリシーには反しますが…」
     「陸戦と空戦両方に特化したMk-3、そしてMk-2カスタム…」
     「これら2機の完成こそが、ATX計画の真の目的でしてよ!」

エクセレン「…そのパーティにしちゃ、くす玉は大きすぎね」

キョウスケ「真上で割られてはかなわん。エクセレン…新型、いけるのか?」

エクセレン「おまかせ! 所詮はゲシュちゃん。基本はまったく一緒だもの」

マリオン「所詮……ッ!?」

ショーン「どっちも爆発する前に、カタを付けた方がいいようですな」

ゼンガー「アサルト1より各機へ! ミサイルの推進装置を破壊しろ!」
      「ただし、ミサイルそのものを撃墜してはならん!」

ブリット「つまり、適度にダメージを与えろってことですね!?」

ゼンガー「そうだ!」

ブリット「アサルト3、了解!」

キョウスケ「アサルト4、了解」

エクセレン「アサルト2も大了解よん」

マリオン「頼みますわ、私の子供達…」




<ミサイル全回収>

ユン「大型ミサイルの処理、終了しました!」

ショーン「やれやれ…今回は何とかしのげましたな」

レフィーナ「ええ…」

ブリット「新型が出てきて助かりましたよ、エクセレン少尉」

エクセレン「お姉さんに任せとけば、矢でも鉄砲でも持って来いって言ったでしょう?」

ブリット「いえ、初めて聞きました」

キョウスケ「ゼンガー少佐…」

ゼンガー「何だ? キョウスケ」

キョウスケ「…あのDCのパイロット…構わないのですか?」

ゼンガー「フッ…お前らしいな。構わん。今度あった時はステークを撃ち込んでやれ」
      「…あの男は自分の考えで行動している…」
      「それが正しいか否かは関係なく、な。…俺も同じだ」

キョウスケ「…了解」

ゼンガー(そう、それが正しいか否か…それは関係ないのだ)




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