+第4話・鋼鉄の孤狼+


<インターミッション・北米支部基地>

キョウスケ「…南極へ?」

ゼンガー「うむ。『シロガネ』の竣行式とEOTI機関の新型機動兵器のお披露目が行われる」

ブリット「隊長、シロガネって何なんです?」

エクセレン「んもう、勉強不足ねえ」
       「シロガネってのは、スペースノア級万能戦闘母艦。その壱番艦のことよ」
       「勉強になったかしら? ブリット君」

ブリット「なるほど…。よくわかりました、先生」

エクセレン「女教師ブロウニングと呼んでもらって結構よん? 生徒の憧れ、まぶしい白衣…」

キョウスケ「保険教師と混ざってるぞ。それはともかく…EOTI機関の新型というのが気になるな」

ブリット「前回の戦闘で連邦への反乱を目論んでるって噂がますます信憑性を増しましたからね」

キョウスケ「…反乱か。だとすると、今度の竣工式…どうもキナ臭いな」

ゼンガー「そのために我々が守備任務に就く。万が一のことに備えてな」
      「なお、南極アレキサンダー島沖で『ヒリュウ改』と合流する」

ブリット「ヒリュウ改?」

エクセレン「んもう、ホントに勉強不足ねえ。じゃ、先生が教えてあげるわ。ヒリュウ改ってのは…」

ブリット「人類初の外宇宙探査航行艦を改造した戦艦でしょ?」

エクセレン「あらら、教えるまでもないじゃない。良くできました。…後で体育倉庫ま・で・ね?」

ブリット「た、体育倉庫なんてこの基地にありましたっけ…?」

キョウスケ(しかし…連邦軍もある程度はEOTI機関の動きを察知しているはずだ)
       (なのに、どうして竣工式やお披露目などで互いのカードを見せ合う必要がある?)

ゼンガー(キョウスケは薄々気付いているようだな…)
      (南極の式典は例の会見を隠すためのプロバガンダにすぎん)
      (せめて、お前達には真実を伝えておきたいが…機密事項では、いかんともしがたい。許せ…)




<味方2ターン目>

ゼンガー「各員、出撃準備!」
      「なお、今回は水中戦がメインとなるため、ビーム兵器はほとんど役に立たん」
      「なるべく実体弾・実体剣系の武器を装備して出撃しろ!」

(各機出撃)

ゼンガー「アサルト1より各機へ。これよりヒリュウ改を援護する!」

エクセレン「OK、ボス!」

キョウスケ「アサルト4、了解」

ブリット「アサルト3、了解!」




<敵3ターン目>

(敵増援出現)

ブリット「くっ、結構な数だな…」

カチーナ「怖じ気づいたんなら、さっさとそのPTから降りな!」

ブリット「は!?」

カチーナ「代わりにあたしが乗ってやる!」

ブリット「そ、そんな滅茶苦茶な…!」

ゼンガー「………」
     (どういうことだ? 会見前で連中が過敏になっていると考えたとしても…)
     (どうしてこうまで突っかかってくる必要がある…?)

エクセレン「こんなんで南極の式典に間に合うのぉ!?」


ブリット「た、多分無理なんじゃないですかね?」

ユン「戦闘空域へ高速で接近してくる物体あり!」

レフィーナ「!」

ショーン「やれやれ、今日は千客万来ですなあ…」




<全敵機撃破>

(サイバスター撤退)

ユン「正体不明機、現空域より離脱していきます!」

ショーン「凄まじいまでの速度ですな。まるで疾風…」

マリオン「…テスラ・ドライブで、あそこまでの機動性は出ませんわ。…興味深い…本当に興味深いわ…」

エクセレン「いったい何者なのかしらねえ?」

ブリット「声から判断すると、パイロットは自分と同い年くらいだったようですけど…」

エクセレン「それに、ニャーニャーだかミャーミャーだか言ってるのもいたわね」

ブリット「もしかして、ナゴヤ出身の人間だとか?」

エクセレン「案外、直球勝負で喋るネコちゃん…とかね?」
       「『ケンカ上等』とかハチマキしちゃってるような」

キョウスケ「…くだらんことを言ってる場合じゃないぞ、二人とも」

ゼンガー「キョウスケの言うとおりだ。予定外の足止めを食ってしまった」

レフィーナ「ユン、あの機体はどこへ向かっているのです?」

ユン「方角から予測して、南極コーツランド基地だと思われます」

レフィーナ「コーツランド…!? まさか、例の会見場へ?」

ショーン「嫌な予感がしますな。我々も急ぎましょう」

レフィーナ「ええ…!」




<アフターミッション・ヒリュウ改艦橋>

レフィーナ「副長、コーツランドまでの所要時間は?」

ショーン「およそ10分ほどです」

ユン「艦長、先程の機体に関するデータを発見しました」

レフィーナ「本当ですか?」

ユン「はい。以前に極東支部の偵察機があれと接触したようです」

ゼンガー「しかし、実際にはエアロゲイターの機体ではなかった…と?」

ユン「はい…」

ショーン「かと言って、テスラ研やマオ社が作った機動兵器でもなさそうですな」

マリオン「テスラ研はともかく、マオ社の人間にあのような美しい機体は作れませんわよ」

キョウスケ「ならば、EOTI機関の新型…?」

ショーン「それも違うでしょうな」
     「あれは…我々やエアロゲイターとは別の文明が作り上げたものかも知れません」

ゼンガー「それらが南極で一堂に会するとなれば…何かが起きてしかるべきかと」

ショーン「あそこには、ダイテツ中佐もおられます。我々が到着するまでは…」

(爆発音)

ゼンガー「ぬうっ!?」

キョウスケ「爆発の衝撃…! 近いぞ!?」

レフィーナ「何が起きたのです!?」

ユン「コ、コーツランド基地で大規模な爆発が起きました!!」

レフィーナ「な…何ですって!?」

ショーン「シロガネと向こう側からの使者は!?」

ユン「わ、わかりませんが、あの爆発ではおそらく…!」

ショーン「すぐに状況の確認を!」

ユン「りょ、了解!」
   「! こ、これは…!? 艦長、全世界に向けて声明放送らしきものが流されています!!」

レフィーナ「!!」


<Scene・中継映像>

ビアン「…もはや、人類は逃げ場を失った」
    「我々に必要な物は、方舟ではなく…異星人に対抗するための剣なのだ」
    「よって、私はここに秘密結社ディバイン・クルセイダーズによる地球の武力統一を宣言する!」
    「これは人類が生き残るための戦いである。正義と平和の名の下に、振り上げられた剣の下に…」
    「人よ集え、人よ戦え!」
    「我らディバイン・クルセイダーズと共に、人類の新しい未来を作り出そうではないか!!」


<Scene・ヒリュウ改艦橋>

レフィーナ「…コーツランド基地の状態は?」

ユン「施設の8割近くが損壊…シロガネは大破、PT部隊はほぼ全滅です…」
   「しかし…EOTI機関の新型機、『グランゾン』の破片は一つも見当たらないそうです」

レフィーナ「ならば、基地を破壊したのはグランゾン…」

ゼンガー「先程の声明放送といい…ビアン・ゾルダーク博士率いるEOTI機関が本性を現したか」

ブリット「これって…要するに…」

キョウスケ「EOTI機関…。いや、ディバイン・クルセイダーズとか言ったな」
       「その組織による実質上の宣戦布告だ」

エクセレン「これで説明がつくわね。グランゾンとかいうのと、以前私達が接触した飛行型の機動兵器は…」

カチーナ「奴らの、か。けっ、もともとやる気満々だった…ってことかよ。面白くねえ」

レフィーナ「たった一組織の勢力で、連邦軍全てを敵に回すつもりなのでしょうか…? ビアン博士は…」

マリオン「誓って断言しますわ。ビアン博士…そんな安易な考えで行動を起こす男ではなくてよ」
     「研究者でありながら、本来研究者が持つべきではない資質をその手にした男…」
     「それ故に、彼は『天才』と呼ばれたのだから」




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