+第3話・斬られる前に斬れ+


<インターミッション・北米支部基地>

キョウスケ「救難信号?」

ゼンガー「ああ。フロリダを飛び立った輸送機がバグス…いや、正体不明機の追撃を受けているらしい」

キョウスケ(バグス? 何かのコードネームか?)

エクセレン「ボス…その輸送機って、もしかしてブリット君のT3?」

ゼンガー「そうだ」

キョウスケ「ブリット…?」
       「もう一人のメンバー、ブルックリン・ラックフィールド曹長のことか?」

エクセレン「そそ。もう、あの子ったら若いのに鈍くさいとこあるから…」

キョウスケ「それは本人のせいじゃない気もするが…」

ゼンガー「俺は零式で出る。お前達は訓練で使っているゲシュペンストMk-2でついてこい」

キョウスケ「零式? 新型か?」

エクセレン「グルンガスト零式…あのテスラ・ライヒ研究所が作った特殊人型機動兵器の試作機よ」

キョウスケ「特殊? パーソナルトルーパーではないと?」

エクセレン「そそ。…まあ、俗に言うスーパーロボットって奴ね」

キョウスケ「格納庫では見かけなかったが?」

エクセレン「整備の仕方も何も全然違うもの。地下の専用格納庫でひっそりと、ね」
       「とにかく、アレを見たらビックリするわよん? お楽しみにね!」

ゼンガー「話はそこまでだ。すぐに出撃するぞ!」

キョウスケ「了解」




<戦闘開始直後>

(タウゼントフェスラー、ゲシュペンストMk-2TT出現)

ブリット「くっ…あいつら、まだ追ってくるのか!?」

連邦軍兵「ブルックリン曹長! これ以上は逃げ切れません!」

ブリット(どうやら、ここらで覚悟を決めた方がいいみたいだな)
     「こちらアサルト3! 俺が敵機を引き受ける内にT3はここから脱出してくれ!」

連邦軍兵「りょ、了解!」




<メギロート残り3体>

ブリット「1機だけじゃ、そろそろ限界か。何か手を考えなきゃ…!」

(メギロート出現)

連邦軍兵「うわああっ!!」

ブリット「しまった、輸送機が!!」

(ゲシュペンストM×2機、グルンガスト零式出現)

ゼンガー「グルンガスト零式、見参…!」

ブリット「! あ、あれはゼンガー隊長の…!?」

ゼンガー「隙ありッ!!」

(グルンガスト零式、零式斬艦刀でメギロートを破壊)

エクセレン「わお! いきなり切り札を使っちゃう? もう少しもったい付けた方がねえ…」

ゼンガー「…いい剣だ。切れ味も申し分ない。リシュウ先生に礼を言わねばな」

ブリット「す、すごい…! あんな巨大な剣を振り回すなんて…」

キョウスケ(先手必勝、一撃必殺か。ATX計画…なるほど、確かに普通じゃないな)

ブリット「ゼンガー隊長!」

ゼンガー「…詰めが甘かったようだな、ブルックリン。斬られる前に斬れ…いつもの教えを忘れたか」

ブリット「す、すみません。敵機の数が多くて…」

エクセレン「ほらほら、言い訳はしなぁい。武士は喰わねど片想い…って言うじゃない?」

ブリット「こっちも大変だったんです! それに、そこは『片想い』じゃなくて『鷹容姿』ですよ!」

エクセレン「あらん、さすがは日本マニア。結構余裕あるじゃない」

キョウスケ「…『高楊枝』だ」

ブリット「え? そ、そうでしたっけ? …っと、この人は?」

ゼンガー「ATXチームの新メンバー、キョウスケ・ナンブ少尉だ」

ブリット「じゃあ、やっと三人目が?」

キョウスケ「よろしくたのむ、ブルックリン曹長」

ブリット「了解! ブリットで結構です、キョウスケ少尉!」

ゼンガー「よし、タウゼントフェスラーを援護し、脱出させる。各機、ぬかるなよ」

ブリット「わかりました!」

エクセレン「はぁい」

キョウスケ「…了解」
       (…あの敵は何者だ? 見たところ、戦闘機やパーソナルトルーパーではない…)
       (EOTI機関が開発した新型の機動兵器…?)
       (新メンバーに、新しい敵…落ち着かん話だな)




<初期配置の全敵機撃破>

エクセレン「片づいたみたいね」

連邦軍兵「T3よりアサルト1へ! これよりこの空域を離脱します!」

ゼンガー「了解した」

(タウゼントフェスラー撤退)

ブリット「これで一安心ですね、ゼンガー隊長」

ゼンガー「油断するな、ブルックリン。戦いはまだ終わってはいないぞ」

(増援出現)

エクセレン「団体さんご案内〜…って、意外と動きが速いわねえ」

キョウスケ「わからんな…こいつら、輸送機を狙っているわけではないのか…?」

ゼンガー(…俺の零式を調べに来たと見て間違いないだろうな)
      「よし、後はお前達に任せる」

ブリット「へ!?」

エクセレン「はあ!? ちょっとボス! 説明してよね!」

ゼンガー「問答無用! 敵を倒すまで帰還は許さん。基地に戻るまでが任務だと思え!」

(零式撤退)

エクセレン「いや、遠足じゃないんだから! ちょっと、キョウスケぇ…」

キョウスケ「…チーム初の実戦訓練としては手頃か」

ブリット「しゃべってる場合じゃなさそうです! 敵が来ます!」

キョウスケ「さて…やろうか…!」




<敵増援全機撃破>

エクセレン「ふう。ブリット君、残った敵は?」

ブリット「見当たりません」

キョウスケ「とんだ実戦訓練だったな」

ブリット「ええ。うちの隊長は何でも突然で急な人ですからね」

エクセレン「せっかちな男は嫌われるのにねえ」

キョウスケ「女に嫌われるだけで戦争に勝てるなら、安いもんだ」

エクセレン「わお、よろしくない考え方じゃなぁい? そもそも男と女ってのはねえ…」

ブリット(キョウスケ少尉が来てくれたおかげで…)
     (これからはエクセレン少尉にからかわれずに済みそうだな)




<アフターミッション・北米支部司令部>

グレッグ「任務ご苦労だった。チームは上手く機能しているようだな」

ゼンガー「当然です。あの程度の戦いで生き残れぬようなメンバーを選抜した覚えはありませんので」

グレッグ「そうか。ふむ…君をATXチームの隊長に任命して正解だったようだな」
     「さすがは特殊戦技教導隊出身の…」

ゼンガー「…その話はどうかご遠慮下さい」
      「自分の過去…。キョウスケやエクセレン、ブルックリンには教えておりません」

グレッグ「…そうか」

ゼンガー「それよりも司令…『エアロゲイター』の件ですが…」
      「ここ最近、特定区域での偵察機の出現率が高いように思われます」

グレッグ「その報告は受けている。北米、南欧、極東、そしてマーケサズ諸島の特定地区…だな?」

ゼンガー「それらの共通点は対エアロゲイター用の兵器を研究・開発している場所だということ…」
      「先程の偵察機も例の2機やグルンガスト零式の調査が目的だったのかも知れません」

グレッグ「奴らがそこまでの情報をつかんでいるとは考えにくい…。深読みしすぎではないのかね?」

ゼンガー「………」
      (いずれにせよ、エアロゲイターが本格的に行動を開始する日は近いな…)

グレッグ「とにかく、積み荷もようやく到着したことだ…早速、テストを開始してくれ」

ゼンガー「はっ」




□Back□